【おすすめ本】「フランス革命―歴史における劇薬」のレビュー

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【おすすめ本】「フランス革命 歴史における劇薬」のレビュー

歴史に大きな転換をもたらした「フランス革命」。

フランス革命―歴史における劇薬』では、フランス革命の、その歴史的な意味を振り返っています。

革命は人間の尊厳を守る「偉業」を成し遂げた一方で、血みどろの「惨劇」を生みました。

なぜ多くの惨劇をもたらしたのか、フランス革命という歴史の劇薬は必要だったのか。

今回の記事では、『フランス革命―歴史における劇薬』のレビューをします!

フランス革命に興味を持っている人には、必見の内容となっています!

1. フランス革命が起きるまで

アンシャン・レジーム

16-18世紀のフランスは、「アンシャン・レジーム(旧体制)」と呼ばれる、絶対王政の社会構造をしていました。

人は生まれながら「身分」を与えられ、税金が免除される特権階級の「聖職者と貴族(2%)」、そのしわ寄せを受ける「ブルジョワ(20%)」と「民衆(78%)」で成り立っていました。

アンシャン・レジーム時の風刺画
聖職者と貴族にこき使われる人々

「自由な市場を求めたブルジョワ」と、「今日を生きて過ごす為のパンが買えない困窮した民衆」は、それぞれが社会に強烈な不満を抱えていました。

傷つけられた誇り

人々が惨劇を起こしてまでアンシャン・レジームを倒すという決意に至ったのは、人々が人間の誇りを傷つけられたからだと言います。

中でも印象的だったのが、本書で紹介しているバルナーヴ(1761-1793)の話です。

バルナーヴの母親が革命前のある日、劇場で芝居をみていた際に、後から来た貴族から劇場を追い出された屈辱を知って、バルナーヴは革命家になったらしいです。

バルナーヴ(1761−1793)
出典:Wikipedia

またロラン夫人(1754-1793)は、母と共に貴族を訪れた時に、台所で食事をさせられたことに「旧体制はどうしても許せない」 という思いで革命家になったと言います。

ロラン夫人(1754-1793)
出典:Wikipedia

ロラン夫人は最終的にはギロチンにかけられてしまいますが、処刑の際に以下のような有名な言葉を残したらしいです。

ÔLiberté, que de crimes on commeten ton nom!
(自由よ、汝の名の下でいかに多くの罪が犯されたことか!)

ロラン夫人

それ例外にも、歴史に現れない名もなき民衆や農民があらゆる屈辱を受け、誇りが傷つき、同じように叫び声を上げていました

本書では人々の爆発的な熱情が、既得層を囲む体制であったアンシャン・レジームの破壊に駆り立てたことを紹介しています。

2. フランス革命で起きた惨劇は必然なのか?

フランス革命の始まりとされるスティーユ襲撃
出典:Wikipedia

レ・ミゼラブルに見える民衆の怒り

ミュージカルや映画で有名な『レ・ミゼラブル』では物語の終盤で、フランス革命後に再誕生した王政に対する反乱を描いています。

作中に出てくる「民衆の歌Do You Hear The People Sing?)」の歌詞には、二度と奴隷になるものか!という民衆の自由への強い意思が込められています。

我々の革命に加わらないか
次は誰が強くなり私と共に立ち上がるのか
バリケードの向こうにこそ
君たちの待ちわびていた世界があるのだ
さぁ共に戦え自由の権利を得るために!

民衆の歌Do You Hear The People Sing?)

この曲はとても有名なので、知っている人も多いと思います!

「傾向」の現れ

8月10日事件 出典:Wikipedia

それでは、フランス革命の惨劇はただの偶然だったのでしょうか?

人の行動には「自由意志」や「偶然」が重なり、それぞれ異なった行動を生み出しています。

個々のバラバラな行動が合わさった時に、ある方向性に向かう一つの大きな「傾向」が現れます。

フランス革命では「様々な階級が独自の行動をして、そのバラバラのベクトルが最終的には傾向を生み、それに人々の爆発的な感情が合わさることで、「偉大」と「惨劇」をもたらした」、と本書では解説されています。

3. 人生における偶然と必然とは

球戯場の誓い 出典:Wikipedia

スティーブ・ジョブスのスピーチ

スティーブ・ジョブスがスタンフォード大学の卒業式で行った、有名なスピーチがあります。

スピーチでは「自分の人生で起こる事は後になってからその繋がりが分かる。だから自分がやっていることを信じて前に進め。」というメッセージを伝えてます。

私が今こうして海外に関するビジネスをしたり情報を発進できるのも、過去に行った留学や海外駐在などの、偶然の出来事がつながった結果にあると思います。

皆さんも、今一度過去のことを振り返ってみてはいかがでしょうか?

日々の何でもない生活や、学業・仕事・結婚などの人生の重要なイベントを含めて、偶然と偶然が重なって今が完成されていることがわかると思います。

自分の行動を変えていく

マリー・アントワネットの処刑 出典:Wikipedia
ギロチンはフランス革命の惨劇の象徴

一方、時代の潮流は偶然に決まるものではありません。

上で述べたように、本書ではフランス革命で起きた惨劇は偶然ではなく、ある一定の方向に向かう「傾向」だったと解釈をしています。

この傾向のことを「必然」と呼んだりもしますが、時代の傾向を読んで自分の行動に生かすことは、豊かな人生を歩むことに繋がると感じました。

例えば、「今は日本経済が低迷しているから、海外でも生き残れるように英語を勉強しておこう」など、社会の傾向を読み取って自分の行動を変えると良いと思います。

この自分の起こした偶然の行動が、後になって振り返ると繋がって見えるのです。

おわりに

民衆を導く自由の女神 出典:Wikipedia

今回の記事では、フランス革命―歴史における劇薬のレビューをさせて頂きました。

本書はフランス革命について、革命という偉大と惨劇がなぜ生まれたのか、その歴史的な意味を紹介しています。

私は海外旅行にいつでも行けたり、時間やお金に拘束されないことに対して「自由」という言葉を安易に使ってきました。

しかしこの本を読んで、「自由とは人の尊厳や誇りを守こと」ということを改めて考えさせれました。

フランスが好きな方、レ・ミゼラブルが好きな方は必読の本だと思いますので、おすすめです!

このブログでは、留学・英語スキルアップ・海外ビジネス・海外旅行など、皆様の為になるグローバルに関する様々な有益情報を発信させて頂きます。

今回の記事の動画バージョンはこちら!

今回はこの辺りで。

それではまた!